2022年1月14日(金) 判例研究班『リバースペイメントが我が国において発生しにくい理由に関する一考察』
日 時:2022年1月14日(金) 18:30~20:30
場 所:zoomミーティング(申込者に自動返信メールでミーティングルーム情報をお知らせします)
テーマ:リバースペイメントが我が国において発生しにくい理由に関する一考察
講 師:弁護士 阿部 隆徳 先生
概 要(講師より):
リバースペイメントとは、先発医薬品メーカーの後発医薬品メーカーに対する特許権侵害訴訟の和解の局面で、後発医薬品メーカーが後発医薬品の上市を遅らせることの対価として、先発医薬品メーカーが後発医薬品メーカーに金銭の支払い等を行うことを合意することをいうとされている。通常の和解においては、被疑侵害者が特許権者に和解金を支払うのに対し、通常とは逆方向の支払いであることから、リバースペイメントと呼ばれている。また、後発医薬品メーカーの市場参入を遅らせる効果を有することから、Pay for Delayとも呼ばれる。リバースペイメントは、後発医薬品の参入を遅らせるための競争回避行為(カルテル)であるとして、競争法上の問題が生じうる。
リバースペイメントに関して、米国においては2013年のActavis最高裁判決をはじめとする多数の裁判例が下され、欧州においては欧州委員会の決定と欧州一般裁判所の判決に続き、2020年1月30日にはEU法に関する最高司法機関である欧州司法裁判所(ECJ)の判決が下された。しかるに、我が国においては、リバースペイメントが直接に問題とされた独占禁止法違反事件は未だ存在していない。この違いは何に起因するのであろうか。リバースペイメントが我が国において発生しにくい理由と未だ発生していない理由について考察する。
本講演内容は、「公正取引」(2020年11月号)に掲載されており、以下からアクセス可能。
http://www.abe-law.com/publications/paper/3519/
判例速報:
会合の冒頭の10~15分程度で、最新の知財高裁の注目判決を簡単に紹介します。
(佐々木 健一 記)