会合案内Meeting information

2023年3月8日(水)著作権研究班

著作権研究班会合案内

日時:2023年3月8日(水) 18:30-20:30

場所:zoomミーティング(申込者に⾃動返信メールでミーティングルーム情報をお知らせします)

発表者:前渋 正治 会員

テーマ:2022年の著作権に関する判決の紹介

内容:(発表者より)2022年の著作権に関する判決について争点や判断が参考になりそうなものを抽出してご紹介するとともに、全体的な訴訟内容の傾向に基づき、著作権関連の相談に対して今後必要となるであろう知見を予想します。

 

1.令和4(ワ)8410 発信者情報開示請求事件
◆概要:道の駅に関する情報を発信するYoutuber原告が、①原告の動画のキャプションを抜き出してまとめた画像、②原告のツイートをスクショした画像、それぞれのツイートについて発信者情報開示を求めた。①は創作性なし、②は創作性有りでかつ引用ではないと判断された。

2.令和4(ワ)14375 発信者情報開示請求事件
◆概要:道の駅に関する情報を発信するYoutuber原告が、②原告のツイートやプロフ欄をスクショした画像のツイートについて発信者情報開示を求めた。創作性は有るが引用に該当するとして退けられた。

3.令和2(ワ)12348 損害賠償請求事件
◆概要:自社に関する記事を画像として保存し、自社のイントラネットにおいて社員が閲覧できるようにした被告鉄道会社に対して記事の作成元である原告新聞社が損害賠償請求を求めた。事実の伝達の範囲を超え、原告の思想や感情が現れているとして認められた。

4.令和2(ワ)3931 損害賠償請求事件
◆概要:自社に関する記事を画像として保存し、自社のイントラネットにおいて社員が閲覧できるようにした被告鉄道会社に対して記事の作成元である原告新聞社が損害賠償請求を求めた。事実の伝達の範囲を超え、原告の思想や感情が現れているとして認められた。

5.令和3(ワ)24148 損害賠償請求事件
◆概要:Youtub動画をキャプチャした静止画を並べて紹介するまとめサイト(チラ裏)が使用した動画のYoutuber(令和の虎チャンネル)から訴えられた。引用、時事報道、権利濫用で争ったがいずれも認められず侵害認定された。また、発信者情報開示にかかった費用の一部が損害として認定された。

6.令和4(ワ)12062 損害賠償請求事件
◆概要:ファスト映画訴訟

7.令和4(ネ)10019 発信者情報開示請求控訴事件
 (原審:令和2(ワ)24492)
◆概要:原告イラストレーターのイラストがトレスであることを指摘するため、被告が原告のイラスト画像を含むツイートを行い、原告が著作権侵害を理由に提訴した。一審では原告の主張が全面的に認められたが、二審では引用に該当し、同一性保持権侵害にも当たらないとして逆転した。

8.令和3(ワ)21405 著作権侵害差止等請求事件
◆概要:「Flickr」にアップロードされCCライセンスで提供されていた写真を、自身が運営するウェブサイトでCCライセンス違反(氏名表示違反)で利用した被告に対して、写真の著作者であり著作権者である原告が提訴した。被告は外注先の行為で故意過失が無い等と争ったが、損害賠償請求が認められた。

9.令和3(ネ)10017 共同著作権に基づく利得分配請求等控訴事件
(原審:平成30(ワ)37847)
◆概要:ボイスドラマの制作にて声優のキャスティングや収録、編集を依頼に基づいて行った原告が、制作の発案者である被告に対して、自身は共同著作権者であること及び利益の配分を求めて争った。一審ではすべての請求が退けられ、二審では作業の対価の不足分についての請求が認められたが共同著作権は認められなかった。

10.令和1(ワ)26366 著作権侵害差止等請求事件
◆概要
 広告物のポスティング業務や住宅購入相談業務を行う被告有限会社が、ゼンリン地図を元に事故の業務に必要な情報を加えて業務用の地図原図を作成し、その地図原図を複写して従業員やフランチャイジーに配布していた行為について、ご存知ゼンリンが差止&損害賠償を求めて認められた。被告は様々な論点(著作物性、複製該当性、故意過失の有無、默示許諾、商習慣、30条の4、零細的利用等)で反論したが、すべて否定されている。

11.平成31(ワ)8969 著作権侵害差止等請求事件
◆概要
 香港のゲーム会社が上海のゲーム会社に似た雰囲気のゲームをリリースし、上海のゲーム会社が訴えたが、類似点はすべてアイデアに過ぎないとして否定された。
 また、ゲーム内のキャラの雰囲気が似ていることそのものに加えて、被告ゲームのフェイスブックページに表示された点も公衆送信権の侵害として争点に加えられた。その中には原告ゲームのキャラの画像へのリンクが含まれ、それにより原告ゲームのキャラを含む画像(下記原告画像1,被告画像1)が被告ゲームのフェイスブックページに表示された点も争点に加えられたが、リンクを貼る行為がプロトコルによって画像表示に変換される結果となるのはリンクを貼った者の責任ではないとされた。

12.令和3(ワ)2859 著作権侵害差止等請求事件
◆概要
 被告が運営する自動車・カー用品情報のブログサービスを提供するウェブサイト「みんカラ」に、ユーザーが投稿した記事に原告の著作物である写真が用いられており、サービス運営者に対して賠償を求めたが、公衆送信権の侵害はユーザーの行為であってサービス運営者の行為としては認められず、氏名表示権侵害の責任も負わないと判断された。

13.令和2(ワ)32121 著作権侵害差止等請求事件
◆概要
 下請けのパッケージデザイン会社である朋社の写真の流用により、朋社の客同士(写真の権利者側と流用写真を利用したデザインの納品を受けた側)がトラブル。
 被告は流用写真が利用されたパッケージを廃棄し、似たような写真を別途撮影して新たにパッケージを制作した。原告は写真の著作物に基づく損害賠償を請求したが、共通点には創作性が無いとして退けられた。

14.令和3(ワ)10987 著作権侵害損害賠償請求事件
◆概要
 「奨学金『取り立て』ビジネスの残酷―『借金漬け』にして暴利貪る」、「若者の借金奴隷化をたくらむ『日本学生支援機構』―延滞金を膨らませて骨までしゃぶる“奨学金”商法」の著者であるジャーナリストが、中京大学の教授の雑誌記事が著作権の侵害に当たるとして損害賠償請求を行ったが、共通部分には著作権の保護は及ばないとして退けられ、民法上の不法行為についても「著作物の利用による利益とは異なる法的に保護された利益」がないとして退けられた。

15.SCANPAN関係
令和4(ワ)3313 YAHOO!JAPANショッピング内
令和3(ワ)15525 被告は、「オーエスシー」
令和3(ワ)21224 被告は、「B」 
令和3(ワ)21533 YAHOO!JAPANショッピング内 画像削除
令和3(ワ)21922 株式会社BOOTROOM
令和3(ワ)28410 個人 
令和3(ワ)28416 個人 閉鎖
令和4(ネ)10085
◆概要
 デンマークの「SCANPAN」という調理器具メーカーの日本正規代理店が撮影・作成した商品写真について、同フライパンを並行輸入により日本国内でウェブ販売する業者が無断で使用した。正規代理店が使用料の支払いを求めて提訴し、1サイトあたり5万円を基準とした支払いが命じられた。

(瀬川 左英 記)